英文で覚える熟語帳:『速読英熟語』VS『英熟語ターゲットR』2冊を比較

キクジュクなどの熟語帳は効率的なのだろうか?その前に必要だろうか?

(DEEY─)「単語帳は持ってるけど熟語帳はどうしよう?」

単語帳ほど選択肢はないけれど、熟語帳も何種類か候補に上がる程度には出版されている。

「じゃあ何を選ぼうか?」

ということでいつものように結論から。おすすめは今回の2冊で、ともに英文で覚えるタイプ。

ちなみに大学受験用としても一般用としてでも、単語帳とは違って英熟語に関しては気にしないで大丈夫だと思う。

「こっちの熟語帳にあって、あっちにはない」というのは少ないし、入試専用の熟語とかも単語ほどの偏りはない(単語はある)。

それにそもそも1,000から1,500くらいなので数も少ない。

熟語帳も単語帳と同じように「一覧と例文」というタイプでも良いのでは?と思うかもしれない。

単語列挙型か文章型かに関しては「覚える効率」と「忘れやすさ」のバランス次第だと感じる。

できれば単語だって英文で覚えるのが自然だし一番いい。だけど効率を考えると大量の文を読む作業時間が正義なのかは微妙。

例えば名詞は例文なくても覚えれる。なので単語帳は羅列型で行く選択でよいと自分も思う。特に大学受験では。

だけど熟語に関してはそうはいかないと思う。いやそうは行かなかった。とにかく覚えられない。自分は。

覚えられない以上は何周しても効率性には疑問が生じるので、急がば回れと腹を括ろうと思った。

熟語帳に関して自分は『シス単英熟語』『ターゲット1000』『キクジュク』『パス単』も持っているけど、これらはあくまでもチェック用。

『シス単英熟語』は情報量多いしとてもためになるのは間違いない。だけど覚える用ではない。2冊目用とでも言うか。


『速読英熟語』に関しては、全74コラムじっくり読んだ。熟語も見た。別冊の英文解釈も読んだ。文法のまとめも読んだ。

つまり隅から隅まで目を通した、というかちゃんと全部読んだ。4日かかった。

『英熟語ターゲットR』については、目を通した程度。全80コラムあるけどちゃんと読んだのは5つくらいであとはぱらぱら。

この2冊掲載熟語内容はほとんど同じだけど、英文に関しては大きく違うのが大きな違いと考えていい。

以下に比較表を作成してみた。

今回の2冊は比較的構成は似ている。見開き左に英文、右に和訳。で次のページに使用されている熟語の解説。

また表には書ききれていないけど『ターゲットR』の巻末インデックスは見出しの熟語「のみ」が掲載され、本文で記載されている同意語・反意語は載っていない。

スクロールできます
<< 比較>>

この2冊扱われている熟語の内容はほとんど同じ。ゆえに冒頭で言った通り受験用にとか日常生活用にとかドラマ用にとかはない。

ないけど英文のレベルとクオリティが結構違う。編集方針が違う。

『速読英熟語』の英文は大学受験を意識した文章になっている。それはコラムのテーマもそうだし内容も随筆系がほとんどなのもそのせいだろう。

加えて『速読英熟語』では文法解釈をかなり意識した文になっている。

つまりは分詞や関係詞・前置詞などによる後置修飾、分詞構文、わかりづらいand/or、同格のthat、形式主語など、あえて多用した文になっている。

結果として英文解釈の演習もできる。作者はユーザーに二兎を得て欲しいのだ。

でもただでさえ未知のイディオムや慣用句を入れ込んだわかりずらい文なのに、構文的にも複雑にしてあるということで、

これを初見でさらっと読める高校生は相当な実力。

それゆえに100ページに及ぶ別冊を用意して、本文の英文解釈と文法一覧が付属する訳だけれど。

いや、それでも心折れる人は多いだろう。74コラムある。

サンプルがAmazonでも見れるから一度読んでみるといいと思う。この調子で74回やれるかどうか。

難しいと感じたら『ターゲットR』を即決しよう。みんなそうなりそうだけど。

ちなみに「本文を読まない」という選択もあるけど、一週目はそれでもいいかも。でも二周目以降は読むことになる。

『速読英熟語』はそうやって一度でいくつも美味しくするために、実はかなり無理やりな英文になっていると感じる。

「文法的にはもちろん問題ないけど」的な。

こういった文は大学受験演習教材「あるある」なので、比較的この感覚は味わう。

著作権コストの関係上、誰かの英文を引用できないこともあるし、仮できてもその英文では希望する単語や熟語が効率よく含まれていない。

結局は自分達で書くしかない。

『英熟語ターゲットR』は後発で2021年が初版。先行している『速読英熟語』を見て異なるニーズに応えようとしたのだろう。

1)コラムは全文ネイティブの書き下ろし
2)本文は3段階にレベル分け

のが特徴。『速読英熟語』に比べればレベル3でもだいぶ易しく読めるだろう。

文法の問題集を一冊やり終えていないのであれば、こちらの方がよさそう。

ただ半分近くが日記のようなコラムというのが。


(以上、2025年6月)


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