英語学習が続かない問題:努力できるのも才能でモチベーションを保つのも才能?

英語に限らず何かを習熟するための知識や知恵なら、もう世の中に存在してます。

「毎日やればいいんだよ。」

いやまあそうなんですけどね。でもそれって Easier said than done. では?

だから今回は─「じゃあどうして毎日やれないんだろう?」から考えたいと思います。

今回は受験生に向けた話ではありません。受験生は目標があるのだからやるしかない。

1)”努力できる”遺伝子問題

最近耳にするのが「努力できるのも遺伝」という考え方。「生まれながらの才能」とはまた別の才能。

だとすればこれら才能の「ある/なし」の組み合わせで「能力」という意味では人間は以下の4種類に分類できそう。

[A]:生まれ持った才能あり+努力できる才能あり
[B]:生まれ持った才能あり+努力できる才能なし
[C]:生まれ持った才能なし+努力できる才能あり
[D]:生まれ持った才能なし+努力できる才能なし

まあMLBの大谷さんは間違いない最上級Aですね。そしてこの分類はけっこう納得ができる。

でもそうすると世の中の序列はすべてDNA依存で、イケメンで金持ちで優秀だとしてもそれは単なる偶然、という結論になる。

たまたまじゃんけん大会に優勝しただけでそこにロジックはない。

それはさておき、こと「言語」に関して言えば希望はありますね。

1)語学はほとんど誰でも遺伝的に身につくように人間は設計されいる。
2)努力する才能がなくても、”習慣”にすることはできる。
3)一般的に言語にそこまでの優劣は存在しないし、その必要もない。

誰かと競争するものではなく勝ち負けなし。ただただ日本語を毎日やってるだけ。

たしかに国語が不得意な人得意な人いる。能力的にも。でもほぼ皆十分OKレベルです。

2)たまに何時間もやりすぎる問題

限りある時間の使い方』というアメリカの本で、興味深い記述があるので以下引用します。

心理学者ロバート・ボイスは、学者たちの執筆習慣を長年研究してきた。その結果、もっとも生産的で成功している人たちは、1日のうち執筆に割く時間が「少ない」という意外な事実が明らかになった。

[限りある時間の使い方(日本語版)]より

そのボイス教授は上記の研究結果を自分の生徒に成果として教えたのですが、誰も耳を貸さなかったそうです。

でも「毎日コツコツやることが結局は習熟への近道ですよ。」と言い換えると私たちのほとんどは、頭では知ってるし納得できると思います。

「まあ、それができれば苦労しない。」がそれへの一般的な返しでしょうけど。

ですがこれにはコツがあると筆者は言います。「1日に割り当てた時間が来たら止めて、決してそれ以上はやらない。」ことだそうです。

こうすることによってやる気を次の日に持ち越すことができると。そしてその感じを繰り返せば、それがすなわち毎日の習慣になると言います。

これなら少しやれる気がしませんか?それどころか筆者は「やりすぎない努力(メンタル)が必要」とすら言ってます。

3)モチベーションが低い問題

なぜか一時的にやる気に溢れてやりすぎて、そして燃え尽きるか挫折するか結局やらなくなってしまうパターンについては了解したとして。

そもそも何を目指してやっているのかわからなくなってるパターン。つまりモチベーションがない場合。

あるいは特に英語はそうだけど、日本では英語なくても困らず暮らせるので使う機会もないため伸びない場合。

改めて「自分が英語やってるのは何のため?」かを考えてみたい。

ネイティブの人と毎日話す将来機会があるのであれば、その方向に未来があるので英語学習のモチベーションになる。

だけどそうでなくても自分なりの目標(未来)は設定したほうがいいと思う。TOEIC600点でも英検準一級でも。単語帳終わらせるでも。

いずれにしろ目標─すなわち未来が見えないと人は努力できないので、目標設定は具体的にかつその設定レベルに注意して、でも必ず設定する。

ちなみに「ドラマを字幕なしで見たい。」という目標はネイティブレベルを目指すという意味であり高すぎる目標だと感じる。

これは日本語と英語の距離がありすぎ問題が原因で、習得に膨大な時間をかけてそれでも一瞬良い感触を得ることがあるかもしれない。

だけどその割には使わないとあっさりと忘れる方向に脳が働く。自分も一時期は英語で夢見ましたけど「今では…」とう感じです。

この辺り筋トレに似てるのかもしれないけど「使わないと衰える」ので常に使う環境にないのであれば一考が必要だと思う。無駄になる可能性。

なので目標は一般的には高くないほうがいい。もし予想以上の未来が来そうなら、改めてその時に目標再設定すればいい。

4)アウトプットは脳が疲労する問題

さてとは言いつも折角やっているのだから、やるなら効率良くやりたい。

で脳に何かを学習させて、それを定着させるためにやること。それはもう「アウトプット(話す、書く、考える)」一択。

これが「勉強時間」。でも自分含めてアウトプットは皆嫌がる。というか脳が拒否する。英語教えていてもみんな「英訳」「ライティング」はやりたがらない。

一方のインプット系のリーディングやリスニングは脳が楽だから、これなら長時間やれる。それが非効率と知っていいても。

なので「1日精々1時間で十分」というマインドセットでアウトプット中心にやるのがタイムパフォーマンス的にはよいと思う。自由な時間も増える。

5)習慣にすれば好き嫌いではなくなる

1年365日毎日続けるために。まず365日やるのだから「休み」という概念は存在しません。「平日頑張ったから週末は休み」という感覚ではない。

「若干めんどくさいけど日常生活習慣化しているものは何だろう?」と考えてそのうちの一つとする感覚。歯磨き、シャワー、腕立て。

どれも未来や目標がないと続けられないのは共通。そしてどれも大事ではない。その上で

[1]. やると決めた時間になったらとりあえず、テキストを開く。
すぐに始める気がしない日はあるけど、とりあえずテキストを開く。テレビ・YouTubeを消さなくてもいい、スマホをいじってもいい。

[2]. 歯磨きやシャワーだと思う。
習慣なのでいいも悪いもなくて、面倒くさいは日常茶飯事しょっちゅう。でも歯は毎日磨くし風呂にも入る。適当に磨く時もあれば、シャワーで済ますこともある。

[3]. ながら勉強もOK。
アウトプットである限りけっこう脳は疲労します。ながらOKとしましょう。その代わり勉強時間は伸びるけど。それは仕方ない。でも1時間以上はやらない。

6)現在の自分の場合

以前『CNNEE』の読者投稿で次のような一文を立ち読みしたことがあり、正確には覚えていませんが、

「完全に趣味と割り切っているので何時間もやりません。それでいいと思っています。」

といった内容だった思います。TOEIC900点越えながらこのレイドバックな感じが私には刺さりました。

1日何分を英語に割り当てるかですが自分は「15分から最大1時間」くらいとしています。時刻は基本的に22:30から23:30のあいだ。

その時間が無理ならずらします。15分しかやらないことも結構あります。気づくと一時間経っていてあわててやめることもあります。

それでもほぼ毎日。教材は『CNN English Express』です。

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(以上、2023年7月)