ハーレーはド真ん中:もし大家族にホームステイしたらこんな雰囲気なのかも

ディズニーchからキャラの立った家族9人のドタバタな日常を描くドラマ

ハーレーはド真ん中(原題:Stuck In The Middle)』

のレビューです。結構面白いです。最後に各キャラクターの紹介もします。

一方で英語リスニングとしてはかなり難しくて、使われる用語は日常生活レベルなのですが─

・発音は”省略系”
・喋りの速度は”早い”
・訛りは”ない”けど東北系

な感じです。でもとてもいい学習素材だと思います。


(2023年8月、追記)
ディズニープラスでこの作品をCC字幕付きで視聴できます。

7人兄弟姉妹、両親の家族。兄弟喧嘩、親子喧嘩、学校での事件・・・大騒ぎがベースのドラマ。声の張り合いがデフォルト。

兄弟の何人かはまだ小学校入学以前の舌足らず発音で、それ以外の兄弟家族もいわゆる「タメ口発音(身内発音)」と言われるリエゾンや省略を用いた喋り。

もちろん喧嘩言い合いは、早口、セリフの応酬、セリフかぶせ等々。まあ「このスピードと発音が普通なんだよね?」と思うとリスニング教材として申し分ないのかなと。

なので英語での聞き取りは無茶苦茶難しいと思います。ですがこういうアメリカの家庭の日常生活がベースとなった、特に子供が主人公のドラマ、意外とないんです。

ディズニーチャンネルの中でも笑いに全振りしたシットコム系はあるんですが、ドラマ仕立ては意外と少ないんです。

『リジー&LIZZY』などはまさにこの系統でおすすめですが、リジーは少し古い2000年代初期の作品です。

最近なら『アンディ・マック』や『ギャビー・デュラン』などが英語学習用教材では学べなない、英会話に通っても学べない種類の英語だと思います。

ドラマリスニングのための基礎トレーニングとして最適だと思います。上級者向けなのは確かですけど。

作品は2016年から3シーズン制作放送されました。執筆時(2021年10月)では『ディズニーチャンネル』と『ディズニープラス(配信)』で視聴することができます。

アマゾンプライムからは引き揚げられていて視聴できません。またCD/DVDは発売されていません。

CS放送の『ディズニージュニア』ではクローズドキャプション(CC)放送によってり字幕付きで視聴できるのですが、『ディズニーチャンネル』のほうではCCが表示できません。注意してください。

受験英語の不足分野をディズニーチャンネルでいかに補うかを考える

ただ『ディズニープラス(配信)』において将来、ディズニージュニアの番組に字幕が付く可能性はあると思います(すでにあるCCを流用して)。

またたネット上では有志が字幕を起こしていて、それらをアップロードしているサイトがあります。”Stuck In The Middle transcript”で検索するといくつかのサイトが見つかると思います。

全話書き起こしされているとは限りませんが、逆にトランスクリプトのある話を教材として選ぶようにしてもいいかと思います。

CS衛星等では常に第1話から見られるとは限りませんが、この作品は連続ものではないので途中からでも特に問題はありません。また字幕が全話入手できるとも限りませんので、字幕が入手できるエピソードを選びます。

作品は家庭内や学校を舞台としたファミリードラマです。主人公の子供たちは6歳から15歳の7人で、番組の大半は子供達が話す英語です。

繰り返しになりますが英語の初中級者にとって日常生活を描いたふつうのドラマで学習することはとても大切です。

フルハウスがリスニングにおすすめな理由とジェシーの発音の手強さ

子供が主人公となるファミリードラマでは『フルハウス』をおすすめしました。あとは『モダンファミリー』などもファミリードラマですね。好みはあると思いますが。

ディズニーのドラマがおすすめなのは、上に挙げた作品はそうは言っても大人を対象にしてる「シットコム」であるということで、想定視聴者が子供であるディズニーと比較するとやはり難しい内容が含まれています。

『ハーレーはド真ん中』は、そういう意味でもおすすめですね。その代わり─「これが同じ英語なのか?」と思える発音が続きます。

しかも舞台はアメリカの東北マサチューセッツ。ボストンがあるところですが、この辺りの特徴として、口を開かず、早口なのです。寒い地方はあまり口大きく開かないですね。寒いので。

「英語に敬語はない」といいますが、人間関係の親密度は発音で計ることができるようです。

「人前、初対面、目上の人たちと話す発音」と「知り合い、友達、身内と話す時に使う発音」は異なるようです。これは日本語も多少はそうですよね。

人前では書き言葉的な発音ですが、友達身内とは書き言葉ではない発音に所々なりますね。

「それで」=「そんで」
「やはり」=「やっぱ」
「どのような」=「どんな」

これらと同じような「英語版タメ口発音」を堪能できるのがこの作品です。英語でも関係が親しくなるにつれ発音がルーズになる、ということですね。

これらはつまり「発声(音に出す時)で頑張るべきところを頑張らない」とも言えるのですが、どういうやり方で発音をルーズにするか?というと

[1]. 単語のおしり音と、次の単語の頭音をつなげてしまう
[2]. 母音を曖昧にしたり、短くしたり、省略化してしまう
[3]. 二重子をつなげてしまう

[1]や[3]をリエゾンとかリンキングなどと呼んでいて、日本人にとっては特に[2]の母音欠落も英語リスニング上大問題になります。

というのも日本語は子音と母音がセットであり、子音だけが連続するとそれは「雑音」と脳が切り捨ててしまうからです。生理的に。つまり言葉として脳が捉えない。

この作品が英語学習者にとって優れているのは日常的な会話と身内発音ですが、その表現手段も勉強になります。

・9人の家族が食卓を囲っての、わいわいがやがやな会話
・兄弟・姉妹・親子喧嘩
・学校でのクラスメートとの会話

ドラマではいずれもありふれたシーンですが、とても自然な感じで演出しています。例えば私たちの日常で友達や家族との会話を考えてみます。

家族と会話をしていて「親兄弟の話を最後まで丁寧に聞いて、よく考えてひと呼吸おいて今度は自分が話を始める」

違いますよね?

・人の話に割って入る
・言い終わらないのに食い気味に話始める
・人が話しかけてるのに自分語りを始める
・真面目な話をしてるのに冗談で返される
・途中で何言ってるのか自分でもわからなくなる

ですよね?このあたりのリアル感をちゃんと演出しているのが、この作品の良いところだと感じます。このような「リアルな日常会話」は日本に住んでいて聞く機会はほとんどないと思います。

このような自然な演出はシットコムや映画や大人のドラマでは、実はなかなか見ることができない気がします。

『フルハウス』でさえもっと上品でタメのある人の目を気にした会話です。まるでお姉ちゃんが妹を諭すような。

ただよりリアルな演出というのであれば、今となれば YuoTube があるのでまあそこまでドラマに拘らなくてもという気はします。自分にフィットしたチャンネルを見つけられればですが。

ここまで読んで「よーし、やってみるか」という方に自分のやり方を少々。全然普通のやり方ですけど。

1)字幕なしでひと通り最後まで見る
2)聞き取れないところ中心には止めながら見る
3)3回聞いて無理なら字幕スクリプトを参照する
4)なぜそういう言い回しになるのか考える

でもこのやり方だと「1時間やって10分進まない」ことははよくあることです。

たびたび言及していますが聞き取れない時に、音だけを頼りに聞いて理解しようとしても全ては聞き取れません。当たり前会話のパターンでお互い何を次に言うか分かってるので。

つまり相手のセリフを予想しながら聞かないと会話についていくのは難しいです。

でもこのあたりは日本語でも同じです。すでに頭の中にある大量の日本語ロジックと文章ストックデータベースを参照しながら聞いているだけです。

その予想と外れたところに笑いがあり、驚きがあり、感心があり。結局は日本語同様に

・英語で考えること
・英語データベース内のストック量
・その取り出し速度

などが必要なのでしょう。英語脳の生成と参照ルーティンのイメージですね。

ただ考えてみれば「果たしてここまでのタメ口発音を聞き取れるようになる必要があるのだろうか?」という疑問は起きます。

この先ネイティブと話をする機会は、まああるでしょう。でも私たちが外国人であることには変わりがありません。彼らも自分たちと一瞬でも話してみればすぐにわかることです。

何が言いたい?要するに─、私たちがリアルで彼らの身内英語を聞く機会は今後もほとんどないだろう、ということです。

こちらに相当な実力がなければ、ネイティブもそのようなラフな発音では話しかけてこないでしょう。で・・・今後もそのような機会がないのであれば、そこまでやる必要はないわけで。

ビジネスの場面などでは丁寧で他人行儀な英語と発音でやりとりが行われています。特に英語が苦手な日本人相手には相当容赦した英語が使われています。

ですからその発音が聞き取れて、その速度で思考ができればビジネスに限らず日常生活でも十分なわけです。

むしろここで聞けるラフな省略発音は真似するべきではないと思います。私たちだって妙に馴れ馴れしい日本語を喋る外国人とかどう思いますか?

だから無理して覚える必要はないのかな、とも感じています。ただこのあたりの英語を聞き取れるようになると、街で一瞬すれ違う外国の人たちの会話が耳に入ってくるようになりますね。

あと英語の曲を聞いてると歌詞が断片的に入ってきます。少なくとも音に全集中ではなくなる。

ディズニーチャンネルの実写番組は、今回のようなドラマ系とシットコム系とありますと言いました。

この主流のシットコム系はスタジオセットでの撮影で、笑い声が足されるフォーマットです。

『スイートライフ』『ハンナモンタナ』『ウエィバリー通り』『シェキラ』『グッドラックチャーリー』『ガールミーツワールド』『レイブン』『キャンプキワカカ』・・

挙げるとキリがないのですが、ほとんどはこちらのシットコム系です。ディズニーとはいえ、笑い要素が増えるシットコム系はかなりの難易度です。

発音の聞き取りだけで言えば、子供たちが主人公で子供発音が混ざる分『フレンズ』や『フルハウス』などの大人シットコムよりさらに難しいです。

ドラマ系はロケでのシーンがありフィルムっぽい画作りの作品。こちらは割合的にはあまり多くありません。予算も必要だからでしょうか。

古くは『リジー&LIZZY』、最近では『アンディーマック』『エイリアンシッターギャビー』

『ハーレーはド真ん中』は、こちらのドラマ系になります。笑いの要素は多少抑え気味なのが特徴です。

最後に主人公ディアズ家とお隣のピーターズ家の紹介です。全員が白人のアメリカ英語です(家族ですし)。身内の会話はとにかくタメ口発音でとにかく聞き取りは難しいです。

・ハーレー
3女で主人公。12歳。ドラマ中に彼女視点のナレーション説明が入ります。リケジョでいろいろと発明します。声量も滑舌も良いですが、聞き取りは難しい。

レイチェル
長女で15歳。美人。強弱省略が多い高校生ならではのギャル発音で聞き取りは難関。セリフ自体が少ないのが残念。

ジョージ
次女14歳。運動音痴なバスケ少女。特徴のある喋り方でなおかつ早口でさらに話が長い。

イーサン
長男13歳。ハーレーの一つ年上で相談係。普段は落ち着きがありやさしく丁寧な喋り。

ルーイ
次男8歳。まだ舌足らずな子供発音。

ビースト
三男8歳。ルーイとビーストは双子。

ダフネ
四女6歳。もうこの歳ではしっかりとした文法の英語を話すし、多くの単語の意味がわかっている。まだまだ幼い発音。

トム
父親。ディズニードラマの父親らしく少し茶目っ気のあるキャラ。普段から割と省略発音で大人としては聞き取りは難しい。

スージー
母親。丁寧な英語です。どのドラマもそうですが、お母さんはだいたい丁寧な喋りをしますね。

エリー
隣に住むハーレーの同級生の女の子。歯の矯正していることを除いても聞き取りは難しい。

バサニー
エリーの母親。ディアズ家に対し常に不満を口に。

総合リスニングスコア [12]点

  • 発音:★★★☆
    (省略系):身内発音が主で、母音省略が多いです。皆元気で滑舌は良い
  • 速度:★★★★☆
    (早い):全体的に早めです。セリフ間にも間がないです
  • 訛り:★★☆☆☆
    (ない):訛りは感じませんが、アメリカ東北部訛りの人たちは早口なので、それを演出しているかもしれません
  • 内容:★★☆☆☆
    (容易):語彙・ロジックともに子供向けです

(以上、2021年10月)