マペットベビー。ジュニア作品の中で子供用入門用ならば迷わずこれ
子供の学習用のみならず、大人のリスニング入門用としてもすすめのディズニージュニア。
その中でも特に初級者特化なのが今回レビューする
『マペット・ベビー(原題:Muppet Babies)』
です。
英語学習者向きな理由はマペットの吹き替え声優さん達の発音です。
皆さんはっきりとゆっくりと喋ります。NHK教育のお姉さんお兄さんのようです。あんな感じの抑揚。
内容も情操教育の一面あり、ドタバタもありつつ真面目で優しいNHK的番組です。
(2023年9月、追記)
こちらも、ディズニープラスで英語字幕付きで視聴可能です。
なかなか誘惑が多くて後回しになりがちですが。
1. イマジネーションあふれる愉快な大冒険
本作品はもともとオリジナル版(1984年-1991年)がありました。
その後新たにCGを用いて2018年から制作されているのが今回レビューする新テレビシリーズです。
全部で3シーズン。全71話が制作されました。
作品はCSの「ディズニー・チャンネル」と配信「ディズニー・プラス」で視聴できます。(2021年2月時点)。
レーベル的には「ディズニー・ジュニア」で、5歳前後が対象年齢の幼児向けのアニメ(CG)になります。
プロットは非現実世界のドタバタな展開ですが、会話の内容は常識や人の感情を学習するセリフ構成になっていてやさしい気持ちになります。
大人気のマペット・ベビーたちが繰り広げる、イマジネーションあふれる愉快な大冒険の物語。
引用元:ディズニー・チャンネル 公式
お馴染みのカエルのカーミット、ピギー、ゴンゾ、フォジー、アニマルに、新しい仲間サマーも加わり、時にぶつかり、時に助け合いながら楽しく冒険する姿を描く。
タイムマシーンを作ったり、宇宙の果てまで飛び出したり、好奇心旺盛なマペットたちのとどまる所を知らないイマジネーションの世界に、子供たちの想像力がグンと広がります。
2. リスニング学習で字幕は必須
スカパーCS/BS版ではCC字幕(クローズドキャプション)が表示できますので、必ずCS版で視聴します。
配信版のディズニープラスでは英語字幕が表示できません(2020年12月時点)。
またネット上での字幕(トランス・スクリプト)も執筆時点で確認できません。
というのも母国語である日本語を覚える時は、もし何を言ったか聞き取れなくても教えてくれる人(ネイティブ日本人)が周囲にいました。
外国語学習でもそれが望ましいのですが、さすがにそれは難しいというか無理。
仕方ないので近い環境を作るために、代わりに字幕に親代わりになってもらいます(注意点はありますが選択肢がない)。
字幕なしでリスニングを頑張る─
一度聞き逃しても時間を置いてみたり、20回も繰り返したり、コマ送りしたり。
確かに突然わかることもありますね。
そして自力で聞き取れたその時の気分は良く、また達成感を味わえるのでこれはこれで楽しみの一つとして良しなわけです。
まあですが普段そうしてるよりは、早めに答え合わせをして、その分発音を練習する時間、リピートする時間に当てたほうがいいかと。
3. 番組のフォーマット
この作品よりもやさしい英語、聞き取りが易しい英語のものはディズニージュニアといえ多くはないですが、ないこともなく
『ジェイクとネバーランドのかいぞくたち』
『トッツ とべ! あかちゃん おとどけたい』
などは同様に入門的です。
本項を読まれている方も実力試しに一度視聴してみるのもおもしろいのかなと思います。
結構聞き取れてはいるけど、でも9割以上聞き取れないと徐々に物語が見えなくなる感覚。
聞き逃しても前後予測、状況予測して会話を聴きながら埋ていく感じ。
結構脳はフル回転。
さて番組は11分から12分程度のエピソード2本立てのフォーマット。
英語の容易さと相まり、区切りもよく集中力も継続できると思われます。
メイン・キャラクターは6人と多め。
各エピソードでメインとなるキャラクターが変わり、また舞台設定も変化に富んでいるので単調さは感じません。
そしてディズニーらしくオリジナルの歌が一曲程度、毎エピソード含まれます。
歌詞は明瞭に発音されているので聞き取りやすい方だとは思います。余力があれば歌詞の聞き取りにも取り組みます。
4. リスニング・レビュー
この作品の特徴は声優キャストが全て成人なことです。
ディズニージュニアの番組は子供が吹き替えていることも多く、その場合子供特有発音がリスニングの障害になることがあります。
子供の喋り結構聞き取るの難しいですよね。
『マペットベビー』は大人の声優さんでしっかりとした発音です。
キャラクターに合わせて各人それぞれ声色を作っていますが、声量もあり明瞭で聞き取りやすく極端な早口キャラクターもいません。
また訛りのあるキャラクターもいません。
難しい単語も出てきません。むしろ子供たちなので知らない単語を教え合うシーンなどがあります。
句動詞などもやさしい基本的な使われ方で出てきます。文構造も単純で短めです。
子供なので心理的に深い葛藤やロジック表現、抽象表現はもちろんありません。
オープニングの曲の聞き取りはむずいです。というか聞き取れない。
5. キャラクター紹介
以下に主要キャラクター別の話し方の特徴です。
・「明瞭度(滑舌や声量)」
・「しゃべりの早さ」
・「訛り」
を中心にレビューしています。参考のために声優の出身地を検索し(判明していれば)併記しています。
リカーリング・キャラクターの多くはメイン・キャラクターの声優陣が兼ねています。
・カーミット・ザ・フロッグ(voiced by Matt Danner)
教科書のようなスペル通りの明瞭発音。早口になっても単純に1.5倍速にしたような明瞭さで音素が省略や連結しない。声優はカルフォルニア出身。
・ミス・ピギー(voiced by Melanie Harrison)
ハイピッチな声を作っているので慣れるまでは聞きづらいかもしれない。が声量もあり、早口ではない。声優はフロリダ出身。
・フォジー・ベアー(voiced by Eric Bauza)
明瞭でゆったりと抑揚のある話し方。早口ではない。
コメディアンを目指しているキャラでダジャレを言う(ダジャレになっていないことも多い)。そのため、きちんと聞き取れないと意味がわからない(ただ、意味がわからなくても本筋理解には影響しない)。
声優はカナダ、オンタリオ出身。
・ザ・グレート・ゴンゾー(voiced by Benjamin Diskin)
変わり者キャラクター設定。
そのため、セリフがその場の会話の流れに乗っていない唐突な印象があったり、早口で冗談ともわからないことを言ったり。意味理解できずにおいていかれる可能性あり。
滑舌は良いが時々やや早口。声優はカルフォルニア出身。
・アニマル(voiced by Dee Bradley Baker)
ワイルドで制御難しいキャラクター設定。
周囲より年下の設定か。セリフも短く、たどたどしい。声優はコロラド出身。
・サマー・ペンギン(voiced by Jessica DiCicco)
優しく穏やかなキャラクター設定でセリフも常識的。発言機会は少なめ。
ハスキーボイス気味のため、ところどころ語尾が擦れ、BGMに消されたり、聞き取りが難しい場面ある。発言は常識的なのでどこまで穴埋めできるか実力試される。
声優はカルフォルニア出身。
・ミス・ナニー(voiced by Jenny Slate)
プレイルームのケアテイカー。
世話役で母親的キャラクター設定で喋りも優しくゆったり丁寧。ただし、ところどころで母音欠落や単語結合(子音結合)が生じ聞き逃すことも。
母音欠落傾向の例としては、[milk]の発音で[i]がほぼ発音されずに[mlk](むぅく)。省略発音の初期学習に向いているが彼女のセリフは各話一つか二つで少ない。
声優はマサチューセッツ出身。
総合聞き取り難易度:★★☆☆☆☆(教材英語よりはナチュラル)