句動詞イディオム:ドラマ見るなら必須だけれど『キクジュク』を買えばいいのだろうか

英語学習では句動詞(イディオム)もけっこう厄介な存在です。
というのも実はこの句動詞、学校の教科書ではそんなには出てきません。そもそもあまり習っていないのです。
なぜか?
それは受験であまり出ないから。あるいは学校では<句動詞>と同等意味の「堅い」動詞を先に覚えることに忙しいから。
「着るは”wear”と習ったけど、”put on”は習った?」
これは習ったかも。じゃあ、
「断るは”refuse”。同じ意味の”turn down”は習った?」
どうだろう?
「じゃあこの機会に」ということで『キクジュク』とかの熟語帳を買ってみようと思い立つ。
でも数多すぎてさすがにいきなりこんなには覚えられない・・・
今回はそんな熟語帳の使い方を考えます。
1)学校英語ではあまり習っていない句動詞
この”句動詞”は学校受験英語を離れて、日常英語のドラマや映画を見始めると気づきます。最初は─
「動詞に関しては意外と易しい基本動詞が使われているな。」
という感じから。そしてその後に<前置詞>が聞こえてくる。
「ああ、句動詞か。え、だけどどういう意味?・・・」
で、セリフは先に進み置いて行かれます。
DVDを止めて字幕やスクリプトを読んでみると、やっぱり句動詞(Phrasal Verb)。
<基本動詞>+<前置詞>あるいは<基本動詞>+<副詞>
中学を振り返ると、簡単な日常会話の学習が終わると、そのあとはリーディングが中心となる。高校受験あるし。
そういった受験用説明文中に使用される動詞は”書き言葉用”の<動詞>が多いのでそれを覚えていく。
それが一般的な中学生。高校生もそう。
ですがドラマや映画の日常会話の多くはその堅い動詞はあまり使われません。書き言葉ですから。ニュースなら別ですが。
ということなのでつまり日本で英語を勉強すると、この句動詞(フレーザルバーバル)は知らなくて普通です。
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2)イディオム<英熟語<ことわざ
正確を記すために少々退屈な話を。
「イディオム(Idiom)」と言うと、それはは慣用句や成句を指します。この場合は<動詞+前置詞/副詞>に限りません。
・<動詞+名詞>
・<前置詞+名詞>
・<動詞+前置詞+名詞>
などの組みあわせも含まれます。ただ構成する個々の単語本来の意味からは離れて全体として意味を持つ、と言うことに関しては似ていますね。
こう言った句動詞と慣用句をまとめて「英熟語」と呼ぶこととします。
あとこれら英熟語を用いて、一つの文章として表現したものが「ことわざ」。
以上を不等号記号的に守備範囲大きい順に並べると─
ことわざ>熟語>慣用句>句動詞
のような感じですかね。
文章>語>句>品詞
といえばその順ですね。
3)日常英語の最初の関門
動詞が聞き取れなければ意味がわからないのは日本語も一緒。
そして多用される句動詞。ドラマ英語を始めて最初のハードルはこの句動詞に慣れる(覚える)ことかと思います。
まあでもまず聞き取り自体が難しい。短い簡単な動詞と前置詞から成る(間に目的語が挟まるパターンもある)ため発声自体がそれぞれ一瞬です。
・そして聞き取れたとしてもイメージが湧かない
・字幕で正解のセリフを確認しても全体として意味がわからない
・仕方なく辞書を調べて意味を知っても納得できたり、できなかったり
始めた頃は一つのエピソードでいくつもこのような未知のイディオム現れます。その度に調べて意味を知り納得する作業に時間を取らてしまいます。
句動詞を調べていると、自分の知識範囲の「動詞+前置詞/副詞」イメージからは想像できない意味で使われている、と感じることも多いでしょう。
特に句動詞を日本語に変換して、日本語で理解しようとする時よりそう感じます。
例えば
turn down を「断る」
と日本語を介して教科書的に塊で暗記しまうと、後々苦しい思いをします。記憶定着率もよくありません。
turn the offer down 「変化させる/そのオファーを/下に」
的な直訳イメージを少なくとも間に挟むのがいいと思います。
さらに使われている単語は既知の限られたよく見る動詞と誰でも知っている前置詞の組み合わせのため、どれもこれも似ていて記憶違いも発生します。
ある程度の数を覚えるまでは、何度か出会ってるにもかかわらず毎回意味を調べる状況になることもあるでしょう。
あまりにも果てしなく終端が見えないことから漠然とした不安を感じるかもしれません。
学校英語だけを学んだ人は全員が通る道。
4)熟語帳をどのように使うか
この「果てしない感」何とかするために、句動詞を現状どの程度知っているのか、この先あとどれくらいあるのか一度俯瞰できれば少し安心できるかもしれません。
そこで熟語帳を全体像を把握することと、自分の覚えた句動詞の総目録的・進捗状況確認的な利用を目的に入手します。
そこでキクジュクなどを入手して手元に置いて、出会う句動詞にチェックを入れていくような使い方をします。
掲載されている全てを覚える必要はないのかもしれません。
あるいは子供向けのドラマであるにも関わらず、キクジュク3600には掲載されていないもがもあります。
「ということは現実的にはあまり使わないのかな?」
と想像もできます。
「未知の句動詞が出てきた!」とキクジュクを開いたらすでにチェックされていた、ということは何回も起きるでしょう。
その時の自己嫌悪感情も利用どころがあるでしょう。
5)句動詞は丸暗記しない
キクジュクを積極的に端から覚えることはしません。
先に触れましたが日常的に使用されるかどうかが不明だからです。使われないものは覚えても仕方ありません。
それならその時間で
・一つの句動詞でなぜいくつもの日本語訳があるのか
・共通するイメージは何なのか
・日本語からなぜその「動詞と前置詞の組み合わせの英語になるか」
などの考察はあってもいいかと思います。
また意外と「動詞+前置詞/副詞」それぞれ単独の意味を維持しているものがある、と感じることもあるでしょう。
ここでふと─
「果たしで自分の持つ、基本動詞のイメージと前置詞/副詞のイメージは正確で十分なのだろうか?」
という疑問が浮かびます。
6)動詞のイメージ、前置詞/副詞のイメージ
ということで、早い時期に熟語帳と併用したいものとして「動詞と前置詞/副詞のイメージに関する参考書」を挙げておきます。
自分が持っている動詞のイメージ、前置詞/副詞のイメージがどこまで十分なのか?ネイティブはどのようなイメージを持っているのか?を学習します。
ネイティブの言う動詞/前置詞/副詞の源となるイメージは、多くの場合は読んでいて納得できると思います。
大事なことはネイティブが書いているかどうか。
それから特に句動詞に関しては単語帳方式では記憶に残らないと思います。
覚えるちときは映像と共に一つ一つ丁寧に記憶に収めて行く方法がよいと思います。
ネイティブの子供が覚えるのと同じ方法になりますので時間がかかる方法ですが…
その句動詞を聞くと思い出す映画シーンやドラマシーンがある。その段階を過ぎればもっと抽象的な概念として(日本語と同じように)記憶され、話すときに取り出すことができるでしょう。
使うことができるようになれば忘れることはありません。
7)日本語のイメージから徐々に脱する
基本動詞のイメージを再確認しつつ、前置詞/副詞のイメージを学習していく。
そうして日本語訳としては想像できないと感じていた「動詞+前置詞/副詞」の組み合わせが、それなりに腑に落ちる意味として捉えられるようになる。
それは暗記ではなく、ただ普通に「動詞+前置詞/副詞」から湧くイメージを前後の文脈から選択して理解している状態です。
最初は「断る」と日本語訳で覚えたとしても、英語では 「offer を down 方向に turn させる」と考えるものなのだ。
そう理解して徐々に日本語から脱却していくこと。
そうすることでで、よりリアルタイムの理解が進むのだと思います。
ネイティブの英会話に行く前にまずは英語のできる日本人に習いたい
(以上、2021年2月)
(加筆、2025年6月)
参考リンク:
・日本人講師メインのオンライン英会話「ワールドトーク」
