資格, ドラマ, 留学, 仕事:英語をやっている目的別に効率的な学習方法を考える
以下、2021年10月初稿版
TOEIC700点への過程:学習方法や過去を振り返りその実力と感じた800点の壁
今回はTOIEC700点(英検2級)はどの程度の実力なのかを体験談的にその道のりと学習実績をお話しします。
「それくらいを目標にしている」「その辺りからがなかなか伸びない」と感じている方々に、何かお役に立てることや気づきがあればいいなと思っています。
1)TOEIC:730点
筆者は随分となる過去に一度TOEICを受験したことがあります。結果はー730点ーでした。ちなみに当サイトでリスニング初中級者はTOEIC700点くらいと言っていますが、おおよそ筆者自身の経験をもとにしています。
またほぼ同じ時期に英検も受験していまして、最後のスピーキングが終わった後の試験官(日本人)とのレビューでと言われたことを覚えています(今でもそういうシステムなのかはわかりませんが)。
そのため経験から「TOEIC700点はおおよそ英検2級に相当する」は妥当だと思っています。余談ですが英検受験は何回か長時間廊下で待たされ、とても長い一日だった記憶があります。
2)学生時代
人生振り返って筆者の英語との出会いは小学校5年。音楽を聴いていて明らかに日本語ではない歌詞(サビの部分)があり、同居していた叔母に何と言っているかを尋ねたこと。
中学からは海外音楽を聴き始め英語歌詞に興味を持ったこともあり、英語は比較的勉強したと思います。夏休みはNHKのラジオ英語を聞いていましたが、全く理解できなかった記憶も。
その後高校三年間は勉強ほぼ何もせず、卒業してからは浪人中に受験英語を再学習。理系大学を選んだのも英語で点数が稼げるからが理由のひとつでした。
そして大学の二年の秋ごろ、海外旅行をきっかけに英語学習熱が始まりました。
3)暗中模索の教材探し
その当時の英語力は学校英語のおかげで少しは英語が読める程度。その傍らーなぜ初見のラジオ英会話が全く聞き取れないのか(二回目からは聞き取れる気がする)。音楽の歌詞が聞き取れないのか(これはそもそも難しいですね)。見に行った洋画のセリフが聞き取れないのかよくわかりませんでした。NHKのテキストや歌詞カードを見ると知っている単語が並んではいるのですが。
まずはそれが解決しないといけない問題だと思いました。ですがユーチューブもBDもDVDもない時代で教材が見当たりません。その当時やったことは─『イングリッシュアドベンチャー(オーディオブック)』『イングリッシュジャーナル(CD付月刊誌)』『スクリーンプレイ(映画のトランスクリプト)』。いずれも時を経て今もなお購入ができることに少し驚きます。
語学学習に古い新しいはないといえばない、あると言えばある・・イングリッシュアドベンチャーはシドニーシェルダンが著したベストセラーの朗読CDです。イングリッシュジャーナル(EJ)は、有名なアルク社の月刊英語雑誌ですね。当時は英語の生音源を手に入れることのできる貴重な媒体でした。
スクリーンプレイは映画のトランスクリプト冊子です。今でこそDVD/BDやネットによって簡単に入手できる英語字幕のおそらく唯一の入手手段でした。ただ扱う映画タイトルは限られていて、内容の好みや難易度を選択できる余地はあまりありませんでした。
4)上達の実感乏しく
イングリッシュアドベンチャーはいわゆるオーディオブックで、ナレーター陣は感情たっぷりですが、とてもゆっくり朗読します。これを聞き取れることで自信がついたのは確かですが、かえって「なぜ映画になると聞き取れなくなるのか」が余計にあぶり出されました。
ですがそれは時間が解決するのだろうと思っていました。つまり─「いくつかタイトル数をこなせばよいのだろう」と。
イングリッシュジャーナル(EJ)は、ニュース等内容レベルが高く自分のレベルにはあっていないことが分かりました。購入した一冊を数か月かかっても終わらないような使い方となりました。その先にある『ヒアリングマラソン』など、とても手が届かないものでした。
最も有用だったのはスクリーンプレイでした。聞き取れない映画のスクリプト(答え)が手に入るということで、存在を知ったときは歓喜しました。ただ映画ビデオは当時1万円以上しましたからいくつも買うわけにはいきません。毎日のように書店に出向いて、どの作品で行くべきかを検討しました。
実際に始めてみると、字幕を読んでも意味が分からないセリフが多いことに気づきました。それは学校英語では習わないイディオムであり慣用句であるのですが、そこで─、丸暗記方法を採用しました(悪手)。
当サイトでたびたび触れていますが、もっとも大事なことは頭を使うこと。つまり英語で考えること、ですが思いつくこともありませんでした。『ツインピークス』の”ビデオ”をレンタルし日本語字幕で視聴する試みもやりました(意味なし)。
5)残る手段
あまり手ごたえがない中で、映画が聞き取れない問題を解決するためには「結局は日本にいてもだめなのだろう」という結論に達しました。「海外留学」です。
オーストラリアを選びました。ホームステイをし、語学学校に通い(クラスで私一人日本人)、その後は現地の人とルームシェア。最後のひと月は旅行。移動も宿もレンタカーもすべて自分で手配。
半年少しをそうして過ごして、帰国後に成果試しで受けたTOEICの点数が冒頭で示した730点でした。力試しなので事前の対策なしで挑みました。
6)700点の実力はこんな感じ
さて帰国後でTOEIC730点、英検2級だったわけですが、留学を通じて自分には「感覚の変化」はありませんでした。そしてなぜ上達しないのか問題も解決しませんでした。日本にいたときと同様、あるいはその延長上の状態でした。
・現地の人たちとの会話では、暗記したフレーズは使えても応用がきかない
・グループでの会話になるとオージー訛りであることを差し引いても聞き取れない
・語学学校の先生たちの英語は聞き取れる(容赦した英語)
・ホームステイ先の家族の会話はほぼ聞き取れて理解できる(容赦した英語)
・ルームシェアしていたイギリス人女性の英語も聞き取れる(容赦した英語)
・ですが、かかってくる電話の声は聞き取れない(私が出るとは思ってない)
・現地のテレビもドラマや映画(多くはアメリカのもの)もあいかわらずほぼ聞き取れない
・旅行中も旅行中の外国人たちとはコミュニケーションが理想通りに取れない
・旅行代理店やレンタカーでも怪訝な顔をされる
多くの現地の人たちに話しかけてもらい、また私も話す努力はしていたのですが…まあ人生で二度とない経験や度胸だけはついたわけですが、それはまた別の話。
7)語学留学は見合ったのか
「ネイティブに習う前に(英語のできる)日本人に習いましょう」と主張しているのはこの私の経験がベースになっています。英語の学び方が誤っているとネイティブに習っても語学留学をしても変わらない可能性が高いのだと思います。
「英語しか話せない環境にいればそのうち喋れるようになる」というのも少し言い過ぎなんだと思います。もし日本語で思考することをやめるのであれば、という但し書きがあるならそれは同意します。
語学留学は意味がある人もない人もいる。ネイティブの英会話で上達する人もいるししない人もいる。成功するかどうかは、そのことに気づいているか否かなのだと思います。
8)学校英語方式でも到達する700点
以上がTOEIC730点(英検2級)の実力です。受験前に過去問やら、傾向分析、単語暗記などの事前対策をすれば多少の上積みはあったかもしれません。ですがそれでも800点を超えることはなかったと思います。
でも逆に学校や塾でで教わった通りの方法を延長して独学しても、ここまでは到達できるというのが筆者をもって証明(説明)されたのではないかとも思います。TOEIC700点なら留学もネイティブ英会話もドラマも映画も必須ではないということです。
つまり学校英語のやり方を研ぎ澄ます方向で行けると思います。リスニングはNHKラジオや教材の速度で大丈夫だと思います。と同時一般的にはこの辺りが上限でTOEICで800点以上、英検準一級以上となるとやはり、正しいやり方で学んだ人たちが到達(通過)できるポイントなのかなと思います。
英語学習に近道はありませんが遠回りはあります。足踏みもあります。ほとんど意味のないやり方でやっているパターンがむしろ一般的とさえ思えます。苦労した誰かに教えてもらうのが「気づき」へは「近道」かと。
ネイティブもバイリンガルも私たちの苦労は理解できません。なぜ日本語がそんなに難しいのかが私たち日本人に理解できないように。
以上、今回は学校英語方式で学び続けると、おおよそ700点から800点にプラトーが訪れるでしょう、という思い出話でした。
(2021年10月)