大谷選手のゲームから。MLB現地放送の英語表現や野球用語70+

週末にNHKBS1でLAA大谷選手(おととい40号)の試合中継を副音声で見ていて

「メジャーリーグの現地実況で話している英語表現を拾ってみようかな?」

と思いまして。

そこで副音声でゲームを見ながら、基本的でよく耳にする言葉や専門用語などを選んで、聞こえたものを書き起こしてみました。

終えて数えた結果、65個くらいになりました。

ちなみに今回視聴した試合は、

・2023年8月5日(土):マリナーズ vs エンジェルス

・2023年8月6日(日):マリナーズ vs エンジェルス

の2試合でNHKBS1で放送されたものです。

副音声で両日ともに現地実況はBSW(バリースポーツウエスト)。

実況パトリックオニールさん、解説はマークグビザさんです。いつもの方々。

いや暑い。猛暑日は16日連続ですか。


(2023年8月、9月、追記)

その後もゲーム見ながら気になった表現を追加しています。

1. 英語実況の予備知識

アメリカなので単位についてはふたつ。

・1マイルは1.6キロメートル。

hundred miles“と言ったら”時速160キロ”

・1フィートは0.33メートル。

four hundred fifty feet homer“は、1/3にして”150メートル弾”

人の名前の発音では、

中南米の選手人の名前で「J・G」の発音は「H」になります。

・julio「フリオ」

・jesus「へスース」

・Rengifo「レンヒーフォ」

2. スポーツ英語実況の特徴

メジャーリーグに限らずですが、スポーツの実況を聞いていて特徴的なのは、

[1]. 無生物主語

[2]. 受け身表現

[3]. 倒置

[4]. 主語の省略

[5]. 主語Youの多用

でしょうか。

[1]の無生物主語はむしろ英語の特徴とも言えるかもしれません。

[2]と[3]については、目の前の状況を実況しようとすると、

無生物(ボールやプレイ)を先に言い始める(主語にする)ことになり、

自然と受け身型や倒置型が使われ易いということもありますね。

例えば、

That ball (was) crushed and went well over the fence.

(ボールは引っ叩かれて、フェンスを余裕で超えて行った。)

無生物(ボール)が叩かれて、フェンスを「自ら」超えていくんですね。

・・・

これくらいだと、日本語でも言うか・・・

[4]の主語の省略については、

目の前の映像に写っていて共有認識できるものは省略されますね。

It is, He is, It, That・・・

なので動詞から聞こえます。

[5]の主語がYouも多用されます。解説などで、一般的な話をしようとする時Youが主語になります。

例えば、

フリオロドリゲスが速球をうまく打ち返しましたが、センターライナーでした。

解説のグビザさんは、

You can’t hit that fastball other than like that.

(あれだけの速球ですから、打つ方もあれが精一杯でしょう。)

と言っています。打ったフリオに限った話ではなく、一般論を意図しています。

3. 打者目線、打撃の実況表現

That (will) bring(s) up Shohei to the plate.

(そして、大谷がバッターボックスに向かいます。)

out in front

(泳ぐ、屁っ放り腰、前のめり)

打者の実況解説ではとてもよく聞かれる表現で、多彩な場面・状態で使われてます。

直訳は文字通り、前方に(in front)に重心が外れる(out)する様子。副詞的表現。

体勢が前方に崩れる状態。

いや、良くも悪くもニュートラルにも使われているイメージですね。

右打者で聞くことがほとんど?。

外角の球にツンのめったり、へっぴり越しでバットを出したりする状況。

あるいは、右打者がうまくライト方向に捌く感じ。

引っ掛けたり、空振りしたり。

third time through

(打者三巡目)

Luis, Shohei, C.J (are) due up at the bottom of the 6th.

(6回裏の攻撃オーダーは、ランヒーフォ、大谷、クロンです。)

dish

(ホームプレート)

check swing / checked swing

(チェックスイング?)

日本では何て言ってますっけ?

だいたいはスイング途中でバットを止めて見送る体制。当たってもファウル。

half swing にも行かない感じ。

仮にバットにボールが当たって、挙句フェアとなって、さらに一塁セーフだと、

excuse me swing

と言う。「当たっちゃった、おまけに安打で失礼てへ」的な。

square up to push that bunt just inside the third-base line.

(構えてバントを三塁線ギリギリに転がす)

buntは、名詞(バント行為/バントしたボール)としても使えるので、このような場合、聞いていると妙な感じがしますね。

tried to bunt the ball down the first baseline.

(一塁線にバントをしようとする)

こっちの感覚はまあそうですよね。

show the bunt

(バントの構えを見せる)

この場合は、バッターが一瞬、バントの構えをするけど引っ込めた状況。

Shohei has been all over the game/place/field tonight.

(大谷さん大活躍)

どこにもいる感じ、と英語は表現するみたいです。

chase

(変化球についていく/合わせる)

なので、ヒットにはなってもホームランにはならない感じ。

Ohtani (is) waiting (in the) on-deck circle.

(ネクストバッターサークルには大谷です)

a swing and a miss

(空振り)

shaking it off

(ボールなどが当たって痛みに耐える)

実際にshakeするわけじゃないけど、痛みを何とかやり過ごそうとしてる状態。

tried to get out of the way.

(避けようとしたけど)

デッドボール(hit by a pitch)の時とか。

duck out

(高めの球に対してしゃがみ込んで避ける)

got him on a foot.

(自打球を足に当てる)

この表現多いですね。出だし”ガリム”って聞こえるパターン。

just got a peice.

(ファウルチップ)

stays on the curve ball.

(カーブについていって)

ヒットとかホームランの場合に、stays on 使いますね。

lays(laid) off that split and walk

(スプリッターに手を出さない/見切ってフォアボール)

cut that one off

(カットスイング。だいたいベンチ方向にファウル)

11 in a row (have been) retired since then.

(あの回以降、11打者連続で凡退)

4. 投手目線、ピッチングの実況表現

punch out

(三振)

ボーリングの10フレームの三連続ストライクがパンチアウトですね。

secondary pitch

(変化球、ストレート以外の球)

off speed pitch ともいう

quality start

(クオリティスタート)

got him (on a ) looking/swinging

(見逃し三振/空振り三振に取る)

all over the plate

(ストライクゾーンを目一杯有効に使う)

良くも悪くも球が散って、打者が絞れない状況。

give up two-run homer

(ホームランを打たれる/献上する)

the ball in there

(ストライクゾーンに入っている)

elevated

(高めに浮いた球)

got him on a chase

(泳がせて/おっつかせて、打ちとる/三振をとる)

Shoei couldn’t make it out of 4th inning because of his finger cramp.

(指の痙攣で4回もたなかった)

やり過ごす/持ち堪える。make it out

pick off

(走者を牽制球で刺す)

Smith had been in a sticky substance suspension.

(スミス投手は粘着物質使用でしばらく出場停止でした)

pitch time violation

(ピッチングクロックのタイムオーバー)カウントにワンボールプラス

try to make a quick delivery

(走者がいるのでクイックモーションで投げる)

That was a little bit awkward follow trough.

(投げた後のフォロースルーが少し変だった)

awkward swing とか awkwardly (変な感じ)とかよく出てきます。大抵怪我の原因となったプレーの時。嫌な感じ。

(quick) one-two-three inning

(三者凡退)

have a disccusion to make sure they’re on a same page.

ピッチャーとバッターのサインが合わない時にキャッチャーがマウンドに駆け寄って確認している状況

5. 野手目線、守備の実況中継

That was a beautiful double play turned by Moustakas.

(ムスタカスだからこそのダブルプレーですね。[無生物/受け身])

turnなので、ムスタカスがダブルプレーに変えた。他の選手ならダブルプレーにできなかったかもしれない。

fielder’s choice

(フィルダーチョイス)

日本の野球でも使われてますが直訳は、

「野手の選択(フィールダーズ・チョイス)」。

ショートがセカンドに投げることを「選んだ」のです、ファーストじゃなくて。

失敗だったけど。

自分はそういう意味とは全く知らなかった。

That was the 13th double play produced by KIRBY this year.

(今のがカービーの今シーズン13個目のゲッツー)

get-two(ゲッツー)は和製英語。でも現地のプレーヤーがそれ聞いて、

「ゲッツー?なるほど、いいかも!」

って言ってるのを見たことある。NHKBS1の1コーナーだったか。

gets in the way

(走者の前に立ちはだかる)

roll it toward the short

(ショートへのゴロ)

tried to apply a tag.

(打者にボールでタッチをしようとした)

Closing in, making the catch to end the inning.

(ボールに寄って。取りました。この回終了)

スリーアウトの時の定型表現。to retire the side とも。

it was almost catcher interference.

(もう少しで打撃妨害だった)

calling for it to make a catch

(ポップフライとか上がった時に自分が取ると身振り手振り声出し)

The ball has dropped where the no man’s land is.

(打球は誰もいないところに落ちました)

ポテンヒット(a blooper)が内野と外野の間の誰もいないところに落ちたんですね。ちなみに複数形の bloopers になると「珍プレー集」とか「NG集」という意味で使われます。

6. 走者目線、塁上の実況中継

Sliding into the second base… is Luis Rengifo.

(セカンドにスライディングしたのは・・・レンヒーフォです。[倒置])

picked off 

(走者が牽制アウトになる)

caught stealing

(盗塁失敗)

two men stranded

(2者残塁)

lead-off man (is) on the board

(先頭打者が塁に出る)

bases are still loaded

(それでもまだ満塁)

beat the throw to the first base.

(送球より早く一塁に走り込む)

内野ゴロとかで、ギリギリのタイミングでセーフになった時とか。

got him on a slide.

(あと一歩及ばずアウト)

bang-bang play

(際どいタイミングのプレー)

see if Moniach takes off

(モニアックが一塁をスタートするか見てみましょう)

ヒットエンドランをやるか、盗塁をするか、みたいな場面ですね。

hit and run

(ヒットエンドラン)

英語でもヒットエンドラン。うん。

tags (up) and advances to third

(ライトフライで、ランナーがタッチアップしてサードへ)

タッチアップ(touch up?)も和製英語ですね。英語では tag を使う。

7. ベンチ、インタビュー、怪我、そのほか

thrown out of the game

(退場させられる)

we’ve got a (brand new) ball game.

同点に追いついた時など、(新たなゲームです)という言い方をする。あるいは単に、It’s a ball game! とだけ言う。

we’re not worthy.

(私たちには価値がない!)

番外編というか。大谷さんのホームランで、時々解説のグビザさんが、喜び半分驚き半分で口走るのですが・・・自虐?

much as you can get

(やれること目一杯。それが限界)

文末によく出てきます。”アズユキャンゲッ”って聞こえるのは、これ。

all momentums now has the angels.

(ゲームの流れはエンジェルズになった)

momentum swings in this game.

(シーソーゲームになりました)

”流れ”とか”主導権”とか、英語ではモメンタム(慣性力)になります。

how much Julio turns things around the Mariners.

(フリオがマリナーズの状況をどれだけ変えたか)

モメンタムはターンして変えれる。

trying to making the case.

(オフの交渉などの材料となるアピールケースとする)

今回の登板の結果とかをthe caseとして後々の交渉時に引き合いに出すんでしょう。

walk us through the moment when you were…

(あの場面を振り返ってもらえますか?)

ヒーローインタビューで美人お姉さんが最初に聞く質問です。

do whatever we can do to help our team win.

インタビューの締めくくりで優等生がする常套句です。

(チームが勝つためなら、できること何でもやるよ。)

because of oblique tightness, Shohei is scratched from the lineup for today.

(わき腹の張り(腹斜筋の締め付け)で、大谷は先発から外れています。)

stiffness も使われますね。こっちは「こわばり」的な意味で。

Shohei Ohtani was diagnosed with a torn ulnar collateral ligament in his right elbow.

(大谷選手は右肘(関節の)内側(尺骨)側副靱帯の損傷と診断されました。)

実況では略してUCLと言われていましたね。アメフトでは膝、前十時膝靭帯のACL(anterior cruciate ligament)が頻繁に聞かれます。

ligament(靭帯)の怪我はスポーツをしていると避けられないです。

8. 『Take Me Out to the Ball Game』を歌おう!

あー、7回途中から土砂降りで音聞こえないー。

おまけ。

『私を野球に連れてって』

2拍子(4拍子?)で[カッコ]が拍子でゆったり歌います。

結構アクセントの取り方が難しいですよね、途中裏拍子で入ったり。

♪ [テ]イクミー[ア]ゥトゥーザ[ボ]ール[ゲ]ーム

♪ [テ]イクミ[ア]ウトゥザ[ク]ラーウ[ド]

♪ [バ]イミサン[ピ]ーナッツアン[ク]ラーッカ[ジ]ャック

♪ [ア]ードン[ケ]ェイフア[ネ]ヴァーゲッ[バ]ック

♪ ェミ[ル]ールー[ル]ーフォザ[エ]ーン[ジ]ェル

♪イ[ゼ]イドン[ウ]ィンイッツア[シ]ェーイ[ム]

♪フォイッ[ワ]ン[ツ]ー[ス]リィストラッチュ[ア]ゥ

♪アッディ[オ]ール[ボ]ール[ゲ]ー[ム]

『Take Me Out to the Ball Game』

(以上、2023年8月)

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